〜平将門にまつわる伝説〜
Last modified: Sun, 12 Jan 2003 19:02:12 +0900



将門の娘・如蔵尼
如蔵尼

《如蔵尼》

 如蔵尼は平将門の3番目の娘と言われています。彼女に関する説話は、

  • 今昔物語(巻第17の第29)
  • 元亨釈書(巻第18 願雑3 尼女)
  • 地蔵菩薩三国霊験記

の中に収められています。
 元亨釈書、地蔵菩薩三国霊験記では如蔵尼は平将門の第三女とされていますが、今昔物語では平将行の第三女とされています。また今昔物語では他の2書と違って、将門の滅亡後奥州に落ちて来たというくだりが省かれてしまっていますが、物語の概略は3冊ともほぼ同様だそうです。以下に今昔物語の該当記事のあらすじをご紹介します。

 昔、陸奥の国に徳一という高僧が創建した恵日寺という寺がありました。その寺の傍らに庵を結んで、平将行の第三女であるというひとりの尼が信仰の日々を送っておりました。
 たいそう美しく心のやさしい女性でしたので、出家する前はたくさんの男性から求婚されましたが、彼女はそれに全く興味を持たず独身を通しているうちに、ある日病にかかりはかなくなってしまいました。
 死後、彼女は冥途の閻魔庁に行き、その庭で多くの罪人たちが生前の悪行のために罰を受けて苦しむのを見ました。彼女は耐えがたいほど恐ろしく思いましたが、その中に錫杖を携えた小さな僧を見つけ、思わず経文を唱えました。実はその小さな僧は地蔵菩薩で、彼女の生前に罪のないことを知っており、閻魔王に彼女を現世に戻すよう命じました。別れ際に地蔵菩薩は彼女に経文と極楽往生するための要句を教えてくれました。蘇生した彼女は出家して如蔵尼と名乗り、ただひたすらに地蔵菩薩を信仰しました。その信仰のゆえに彼女は地蔵尼とも呼ばれました。如蔵尼はその後80歳余りまで生き、大往生を遂げました。

 これが今昔物語に収められた如蔵尼にまつわる地蔵菩薩の霊験譚です。
 ところで如蔵尼の墓と伝えられるものが福島県の恵日寺(えにちじ)に残されているそうです。福島県には恵日寺が2つあり、片方は福島県耶麻郡磐梯町に、もう片方は福島県いわき市四倉町玉山字南作1にあります。
 前者は大同2年(807年)に徳一大師によって開かれました。この寺の山門は平将門による寄進だと言われ、将門自身も恵日寺に帰依していたと伝えられています。将門滅亡後、三女の滝夜叉姫がこの地に逃れ、庵をむすんだという伝説もあります。恵日寺では瀧夜叉と如蔵尼を同一人としているようです。ここには如蔵尼の墓碑と滝夜叉の墓碑があるそうです。
 後者には滝夜叉の墓と称する土盛りと墓碑が建っているそうです。私自身はまだどちらのお寺も訪れたことがありませんので、写真でしか見たことがありませんが、ぜひ一度行ってみたいと思っています♪

 さて、如蔵尼が三女というからには、じゃあ、長女と次女はどうしたよ?と思いませんか?長女については今まで読んだどの文献にもそれらしい伝説を見かけたことがないので、長女にまつわる話は残っていないのかもしれませんが、次女についてはやはり如蔵尼とよく似た伝説が残っています。
 将門滅亡後、第二女の春姫は現在の千葉県沼南町岩井付近に落ちて来て出家し、如春尼と名乗って隠れ住んだのだそうです。千葉県沼南町岩井には将門神社があり、この境内にある地蔵は如春尼が父・将門と一族の菩提を弔うために作ったものだといわれています。千葉県沼南町岩井付近には将門の城のひとつがあったという言い伝えもあるそうです。

【参考資料】
   「平将門資料集」新人物往来社
   「将門伝説」梶原正昭・矢代和夫/新読書社
   「怨念の将門」神山弘/エンタプライズ