ローマ人の名前
Last modified: Mon, 04 Mar 2002 18:40:35 +0900

小アグリッピナ
小アグリッピナ

◆男性名
 ローマ人の男性は普通3つの名前を持っていました。
 個人名(praenomen:プラエノーメン)+氏族名(nomen gentile:ノーメンゲンティーレ)+家名(cognomen:コグノーメン)の3つです。
 例えば、ガイウス=ユリウス=カエサル(Gaius Julius Caesar)の場合、ガイウスが個人名、ユリウスが氏族名、カエサルが家名です。でも、3つのフルネームで呼ばれるよりも家名のみ、あるいは氏族名+家名で呼ばれることの方が多いです。だからユリウス=カエサルと呼ばれる人がやたら多かったりします。
 偉大な業績を残した人物の中には4つ目、5つ目の名前を持っている人もいました。例えば、カエサルのライバル・グナエウス=ポンペイウス=ストラボー=マグヌス(Gunaeus Pompeius Strabo Magnus)。最後のマグヌスは「偉大な」という意味の副名(第4の名)です。大スキピオはアフリカを征服したので「アフリカヌス」という第4の名を持っていましたね。逆にガイウス=マリウス(カエサルの義理の伯父)のように、出自が低いために第3の名を持たない人もいました。
 スキピオ=アエミリアヌス(Aemilianus)やオクタウィアヌス(Octavianus)のように家名の最後に -anus とつくと、それは「〜家から来た養子」という意味になります。ローマ人って出自にこだわるのですね〜。

 個人名のバリエーションはとても少ないです。主なものを挙げると、
 アウルス(Aulus)、アッピウス(Appius)、ガイウス(Gaius)、クィントゥス(Quintus)、グナエウス(Gnaeus)、セクストゥス(Sextus)、セルウィウス(Servius)、スプリウス(Spurius)、ティトゥス(Titus)、ティベリウス(Tiberius)、デキムス(Decimus)、プブリウス(Publius)、マニウス(Manius)、マルクス(Marcus)、ルキウス(Lucius)です。
 ところで、古代ローマ時代のラテン語では大文字しか使われていませんでした。小文字が発明されたのは中世になってからです。さらにアルファベットの中の J U W は初めのうちは存在しませんでした。C は本来 G の音を表していましたが、G が発明されてからは C が K の音を表すようになりました。C に駆逐された K はわずかに Kalendae(朔日)という語だけに残りました。かつて C が G であった頃の名残に個人名の略字には G の代わりに C が使われています。Gaius の省略形は C. です。
 というわけで、Gaius Julius Caesar の古い表記の仕方は、CAIVS IVLIVS KAESAR となるのでした。

◆女性名
 女性名はさらにバリエーションが少ないです。個人名はなく、氏族名を女性形にした名前を使っていました。ユリウス=カエサル家ではユリア(Julia)が定番です。帝政期に入ると氏族名に家名も加えられました。姉妹がいる場合には、氏族名+「〜番目の」とか「年下の」という形容詞をつけて呼び分けました。
 …それにしても、本当にバリエーションが少ないですよね(^_^;)。ローマ史がわかりにくく思われる原因のひとつに、この「名前の区別がつきにくい」という点があるのだと思います。

 右の写真は暴君として有名なネロの母親・小アグリッピナの彫像です。
The right image is a statue of Agrippina the younger, mother of Nero, in Vatican Museum, Rome, reproduced here by courtesy of VRoma Project.